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ホスファチジルセリンとは?
ホスファチジルセリン(PSとも表記される)は脳や神経組織に多く存在するリン脂質の一種です。サプリメントはかつては牛の脳から抽出されて生成されていましたが、狂牛病などの懸念から現在では大豆やキャベツ由来で作られています。
ホスファチジルセリンは特に高齢者における認知機能の改善・向上のために用いられているようです。アメリカのホームドクターは「最近物忘れが激しい」という患者に対してまずはホスファチジルセリンを勧めると言います。アルツハイマー病や認知症を改善する効果が複数の臨床試験において実際に示唆されています。
また、ホスファチジルセリンにはアセチルコリン、ドーパミン、セロトニンなどの脳内物質を増加させる働きが示されていることから、うつ病の改善にも一役買うのではないかと期待されています。
ホスファチジルセリンがうつ病に効くエビデンス
ホスファチジルセリンを投与し、脳の機能に及ぼす影響を調べた研究では、記憶・判断・抽象的思考や物事に対する注意力・集中力の向上などが認められています。不眠、うつ、精力減退、運動によるストレスの改善効果については、さらなる調査と研究が必要です。
『サプリメント健康事典』(日本サプリメント協会、集英社、http://amzn.to/2FQ1MgM)
加齢による認識能の低下、記憶障害に対して経口摂取で有効性が示唆されている。知力低下のみられる高齢者において、注意力、覚醒、言葉の流暢さ、記憶の改善が認められた。
「健康食品」の素材情報データベース(http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail11.html)
ホスファチジルセリンはうつ病に効果があるか?
ホスファチジルセリンは記憶力、集中力、注意力などの脳機能を向上させることは大いに示唆されていますが、うつ病に対する効果ははっきりとは示されていません。「効果がない」のではなく「実証には更なる研究が必要」という段階です。
うつ病とは脳の働きが抑制されてしまっている状態が長期間続いている状態のことですから、ホスファチジルセリンによる脳機能の向上はうつ病の改善を促進するのではないかと考えられます。
また、冒頭でも紹介した通り、ホスファチジルセリンにはアセチルコリン、ドーパミン、セロトニンなどの脳内物質を増加させる働きが示されています。
・アセチルコリン→記憶力、集中力など全般的な脳機能に関わる
・ドーパミン→やる気や意欲の原動力
・セロトニン→気持ちを落ち着けて幸福感を高める
うつ病の一因として「セロトニン」や「ノルアドレナリン(ドーパミンを原料として脳内で生成される)」の不足が指摘されていますので、これら脳内物質を増加させるホスファチジルセリンのうつ状態に対する効果が実証されることが待たれます。
ホスファチジルセリンに副作用はある?
ホスファチジルセリンは適量を用いれば副作用の報告が殆どなく、極めて安全性の高いサプリメントです。
ホスファチジルセリンの1日の摂取量
ホスファチジルセリンに定められた摂取量は特にありませんが、一般的には1日に100mg〜200mgが用いられます。おおよそのサプリメントの摂取目安量もその範囲で記載されています。
ホスファチジルセリンの脳への効果は即効性というよりは継続して摂取することで発揮されるものです。臨床試験においても1日300mgの摂取を8週間や12週間続けて経過が報告されることが多いです。サプリメントで摂る場合、焦らずに長い目で見るようにしましょう。
600mgの高用量で消化器系の不調や不眠が報告されていますが、稀有な事象です。また、過剰摂取によって逆に効果が薄れ、過剰摂取を16週続けると効果がなくなるとの報告もあります。
このことからホスファチジルセリンの1日の摂取上限は300mgとするのが良いのではないかと推測されます。
ホスファチジルセリンが含まれる食べ物
ホスファチジルセリンは現在、大豆やキャベツなどから抽出されていますが、1日の摂取目安量を大豆から摂取するとなると3kg(納豆で約70パック)もの量を食べなければなりません。これは現実的ではないので、サプリメントによる摂取が合理的です。
また、大豆アレルギーの人のために「Soy-Free(大豆不使用)」のホスファチジルセリンサプリメントもあります。
ホスファチジルセリンの摂取タイミング
ホスファチジルセリンは脂溶性であるため食事とともに摂ると吸収率が高まります。継続して飲む習慣をつけるためにもタイミングとしては食後が最適です。