DHAとは?
DHAは青魚に含まれる多価不飽和脂肪酸の一種です。海藻にα-リノレン酸を魚が食べることで生成されるので、DHAは植物由来の脂ということになります。寒冷地に生息する魚が寒さに耐えることができることからわかるとおり、DHAは低温でも固まりにくいという性質があります。
DHAを摂ると「頭が良くなる」との評判も聞かれます。これはDHAが脳内に多く含まれることを論拠とする他、マイケル・クロフォード博士が著書『原動力』の中で「日本人が頭がいいのは魚をたくさん食べているからだ(大意)」と紹介したためです。
DHAは摂取にあたって副作用も殆どありません。体内では生成することができないので、必ず食事から摂る必要があります。
DHAがうつ病に効くエビデンス
大うつ病患者22名 (試験群12名、平均35.2±11.6歳、台湾) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、n-3系多価不飽和脂肪酸を6.6 g/日 (EPA 4.4 g、DHA 2.2 g含有) 、8週間摂取させたところ、ハミルトンうつ病評価尺度を改善した。
Omega-3 fatty acids in major depressive disorder. A preliminary double-blind, placebo-controlled trial.(PMID:12888186)
台湾の高雄大学のリンらは、1966年から2006年までに行われた10の研究、329人に対するメタアナリシスを行いました。すると、n-3脂肪酸を投与することで、うつ状態が3割程度軽減する効果が見られたのです。n-3脂肪酸には、明らかにうつ病に対する効果があるようです。
『誰も知らないサプリメントの真実』(高田明和、朝日新書、P92-93)
ストレスの多い環境に置かれた場合に、攻撃性や敵意が生じる。DHAを摂取するとこれらの攻撃性が抑えられるというデータがある。つまり、精神面の安定や、抗ストレス効果が期待される。
『サプリメント事典 第3版』(蒲原聖可、平凡社、P322)
で、DHAはうつ病に効果があるか?
DHAにうつ状態を和らげる効果があることはほぼ間違いないでしょう。少なくとも脳内伝達物質の働きをスムーズにしてストレスを緩和する作用は有用と言えます。
摂取において注意すべき点は、DHAは酸化しやすいということです。市販のサプリメントにおいても劣化してしまったDHAが流通しており、むしろ健康を害する可能性があるとの指摘があります(参考『服用危険 飲むと寿命が縮む薬・サプリ』鈴木祐)。
劣化したDHAを摂らないための解決策は「1.高品質なDHAサプリを摂取する」か「2.魚を食べる」の2択です。推奨されるのは「魚を食べる」です。たしかに焼き魚は調理が面倒くさいし、刺し身は値が張る。しかし、私たちには「缶詰」という選択肢があります。特にサバ缶は安価で大量に流通している上に、新鮮なDHAが大量に含まれています。
私は気分がすぐれないと自覚した時には特に意識して魚を食べることにしています。すると次の日には幾分か頭が冴えているように実感することが多いです。サバ缶です。何はなくともサバ缶。私にとっての最高のサプリメントはサバ缶です。推します。
DHAに副作用はある?
DHAは魚に含まれる天然の物質ですので特に副作用は知られていません。敢えてあげるとすれば1日3g以上の摂取で血が固まりにくくなる(出血が止まりにくくなる)ことがあります。
但し、例えば私たちがある日寿司や焼き魚を食べ過ぎたとしてもすぐさま深刻な副作用が起きることがないように、日常生活においては心配は殆どないと考えられます。サプリメントの長期に渡る過剰摂取には注意しましょう。
DHAの1日の摂取量
厚生労働省”「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書“によれば、成人男女におけるn-3系脂肪酸(DHAやEPA)の摂取目安量は1.6g〜2.4gとなっています。女性よりも男性のようが要求量が0.5gほど多く、高齢になるほど多くの摂取が必要になる傾向にあります。
1日3gまでの摂取であれば安全であるとされます。
DHAの摂取タイミング
DHAの最適な飲むタイミングは「食後すぐ」です。食品中に含まれる脂とともに摂ることで吸収率が高まるからです。逆に、空腹時の摂取は吸収率を低下させてしまうので推奨されません。