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L-フェニルアラニンとは
L-フェニルアラニンはアミノ酸の一種で、私たちの体内で合成できないので必ず食事などから摂取しなければならない必須アミノ酸に分類されます。
L-フェニルアラニンのうつ病への作用メカニズムは2種類あると考えられています。
1. カテコールアミンの原料となること
カテコールアミンは脳内物質「ドーパミン」「アドレナリン」「ノルアドレナリン」の総称で、これらは主に「やる気の原動力」となるものです。特に「ノルアドレナリン」の欠乏はうつ病の一因となるとされ、抗うつ薬の中には脳内のノルアドレナリン濃度を一定に保つ作用のあるものも存在します(SNRI:セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)。
2. フェネチルアミンの原料となること
L-フェニルアラニン独自の働きとしては「フェネチルアミン」という脳内物質の分泌を促進することが挙げられます。フェネチルアミンは「恋愛ホルモン」とも呼ばれていることからも分かる通り、私たちに幸福感や高揚感をもたらすものです。被験者にフェネチルアミンを投与したところ、うつ症状が改善したという研究結果も提示されています。
L-フェニルアラニンのうつ病へのエビデンス
うつ病患者155名に対し、L-フェニルアラニン250mg および L-デプレニール5~10mgとを毎日投与したところ、うつ病症状が緩和されたことから、フェニルアラニンが抗うつ作用を持つと考えられています(PMID: 6425455)。
1980年前後の臨床知見によると、うつ病の治療にL-あるいはDL-フェニルアラニンが経口摂取で有用である(PMID:387000)(PMID:6425455)。しかしこの効果については、最新の方法で再現性を確認するなど、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である
で、L-フェニルアラニンはうつ病に効果があるか?
L-フェニルアラニンは現状「うつ病に効果があるかもしれない」程度の信憑性であると考えられます。しかし、うつ病治療に注目されている栄養素であることは確かであり、現在研究が積み重ねられているところです。
また、アミノ酸はそれぞれ助け合って作用するので、どれか一種類をたくさん摂ってもさほど効果はなく、逆にどれか一種類が欠けても良くないという考え方です(桶の理論)。この理論からすると、L-フェニルアラニンをサプリなどから摂取しても他のアミノ酸が足りていなければ効果は半減してしまうことを意味します。
サプリメントによる栄養の補助は無用なものではないと私は考えていますが、それと同時に普段の食生活をバランス良く改善していくことで心身の健康の底上げになり、サプリの効果も向上していきます。
L-フェニルアラニンに副作用はある?
L-フェニルアラニンは甘味料としても使用されているので、それ自体に副作用を持つものではなく、適切な摂取においては安全性が確認されています。副作用の極めて少ないサプリメントうちのひとつです。但し、念のため下記の人は注意が必要です。
高血圧の人は注意が必要
L-フェニルアラニンを原料として生成されるカテコールアミン(ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン)には血圧を上昇させる働きがあるためです。
肝機能障害の人は注意が必要
L-フェニルアラニンは肝臓で代謝されてL-チロシンへと変化するため、大量摂取は肝臓へ負荷をかけることに繋がる可能性があるためです。
L-フェニルアラニンの1日の摂取量
L-フェニルアラニンには定められた基準摂取量はありませんので、各サプリメントに記載されている摂取目安を参考に服用することとなります。一般的なサプリメントでは1日に500mg〜1500mgの摂取とされています。
L-フェニルアラニンが含まれる食べ物
L-フェニルアラニンはアミノ酸、つまりはたんぱく質ですので肉、魚、卵、豆類に多く含まれます。和食中心の食生活(魚、豆腐、納豆など)にすることでL-フェニルアラニンを含むアミノ酸全般を摂取することができます。アミノ酸はそれぞれが協力し合って作用するので、バランスの良さが肝要です。
L-フェニルアラニンを摂取タイミング
L-フェニルアラニンをサプリメントによって重点的に摂取したい場合、空腹時に飲むのが最適です。食事中に含まれる他のアミノ酸と競合し、吸収率が低下してしまうからです。
また、アミノ酸はビタミンB6によって吸収率が高まるので、L-フェニルアラニンサプリを摂取する際は、ビタミンB群サプリやバナナなどと共に摂取すると相性が良いです。