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5-HTPとは?
5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)は脳内物質セロトニンの原料となるものです。同じくセロトニンの原料としては「L-トリプトファン」がありますが、5-HTPのほうがセロトニンへの変換効率が高く、コアなファンに支持されているサプリメントでもあります。5-HTPは日本では医薬品指定されているので、輸入品を購入する必要があります。
5-HTPのほうがセロトニンへと変化しやすい論拠としては、セロトニンが生成される過程にあります。経口摂取されたL-トリプトファンは下記のように変化し、セロトニンへと変容します。
L-トリプトファン
↓
(ナイアシン)
↓
5-HTP
↓
セロトニン
つまり、下記の結論が導き出されます。
1. L-トリプトファンは体内で5-HTPに変換されてからセロトニンが作られる。従って、5-HTPを直接摂取したほうがロスが少なくセロトニンに辿り着ける。
2. L-トリプトファンはナイアシンの原料でもあり、ナイアシンが不足している場合にはそちらを優先して生成してしまう。5-HTPはナイアシンを合成することはないので、5-HTPの摂取はセロトニンを増やす目的に適している。
このようなセロトニンへの変換効率が良いという特徴により、5-HTPはL-トリプトファンの約10倍の効果があるとされます(参考『食べ物を変えれば脳が変わる』生田哲)。サプリメントとして流通している5-HTPの原料はアフリカに自生するマメ科の木「グリフォニア・シンプリフォリア」から抽出された天然由来の成分です。
5-HTPがうつ病に効くエビデンス
オランダ・ライデン大学のボーイらの研究によると、うつ病の人の食べ物からトリプトファンを除くと、血中のトリプトファンの量が減り、うつ病の症状が悪くなることが報告されています。自殺未遂、自殺願望のあるような人のうつ病の指数が非常に悪くなります。自殺思考のない人の場合も、それほどではないのですが、やはり症状は悪化します。(略)うつ病の人はトリプトファンのちょっとした欠乏にも非常に敏感だということです。
『誰も知らないサプリメントの真実』(高田明和、朝日新書、P162、http://amzn.to/2pk2Vq6)
5-HTP(ヒドロキシトリプトファン)とトリプトファンについて、これらの治療法は成人での単極性うつ病の治療に有効、安全で許容可能な治療であるか調査した。研究者は、5-HTPとトリプトファンをプラセボ(偽薬)と比較し、うつ病の症状が軽減したと報告した。(略)得られたエビデンスからは、これらの成分はうつ病の緩和にプラセボと比較し優れていることが示唆されている。5-HTPとトリプトファンについては、幅広く使用を推奨する前に、有効性と安全性を評価するためさらなる試験が必要である。
で、5-HTPはうつ病に効果があるのか
5-HTPはうつ病の一因であるセロトニンの原料であることは確かであり、うつ病を治癒し得るメカニズムとして強固なものですが、エビデンスとしては確立されていないというのが現状です。具体的にはその効果は「抗うつ治療をの効果を増強する可能性がある」程度に留まるとされます。
また、L-トリプトファンや5-HTPの過剰なる摂取は生命を脅かし得る危険があるのではないかとして、慎重に調査されているところです。但し、5-HTPは1980年代末の「トリプトファン事件」を受けて、より安全なメンタル系サプリとして開発された経緯があるのも事実ですので、この辺りの判断も今後の研究によるところが大きいでしょう。
現在5-HTPはダイエット中の食欲減退サプリとしても人気があり、一定の効果があるとの報告もあります。セロトニンには抗ストレス作用や抗うつ効果の他、食欲を抑える効果も認められています。
今後の更なる研究によって、L-トリプトファンや5-HTPがうつ病を治癒するとの因果関係の確立と、より安全とされるサプリメントの開発が期待されます。
5-HTPに副作用はある?
上で示した通り「L-トリプトファンや5-HTPの過剰なる摂取は生命を脅かし得る危険があるのではないか」とする見解があります。L-トリプトファンや5-HTP自体が危険なのではなく、過剰摂取によるリスクが高い可能性があるということです。
特に5-HTPは「L-トリプトファンの10倍の効果」とも言われますから、過剰摂取になりがちです。使用する場合には適正摂取量を遵守するか、更に危険性を低下させるためにはそれ以下の分量を摂るのが良いと思います。
また、吐き気などの消化器系への副作用も比較的多く報告されています。まずは少量から初めてみるのが良いでしょう。
5-HTPの1日の摂取量
市販のサプリメントに記載されている摂取目安量は1日に50mg〜100mgとされています。摂取上限としては1日数回に分けることを要件に400mgという数字が示されていますが、この量での長期に渡る摂取はおすすめできません。おそらく医師の監修の元での摂取量でしょう。
1日に50mg〜100mg、場合によっては1日に25mgなど少量での運用を当サイト「うつサプ!」ではおすすめしています。
5-HTPが含まれる食べ物
5-HTPは通常の食品中には殆ど含まれないとされますので、摂取にはサプリメントを用いるのが合理的です。
但し、5-HTPの前駆体であるL-トリプトファンは通常の食事をしていれば不足することはないとの見解もあります。まずはバランスの良い食生活を心がけた上で、補助としてサプリメントを利用するのが良いでしょう。
5-HTPを摂取タイミング
5-HTPを含むアミノ酸のサプリメントは空腹時に摂取するのがセオリーです。食事と共に摂ってしまうとアミノ酸同士で競合し、吸収率が低下してしまうからです。
また、ビタミンB6はアミノ酸の吸収率を効率化する働きがありますので、ビタミンB群サプリメントは飲み合わせの良いサプリメントです。