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メラトニンとは?
メラトニンは脳内の松果体から分泌されるホルモンの一種であり、体内時計を調節する役割を果たしています。日が沈む頃になると脳内ではメラトニンが分泌され、私たちは眠くなることができます。うつ病患者はメラトニンの基礎分泌量が低下していることが明らかになっています。
メラトニンは、日中に分泌されたセロトニンが変化して生成される物質です。うつ病の一因に「セロトニン不足」が挙げられますが、セロトニンが不足すればそれを原料とするメラトニンの分泌も低下してしまいます。うつ状態の初期症状に「眠れない」ことがあるのは、そのようなメカニズムも関与しています。
後述しますが、極度の寝付きの悪さを持つ私ですが様々なサプリメントを試した末に出会ったメラトニンで睡眠の悩みが解決しました。私にとっては現在最も信頼でき、欠かせないサプリメントです。
メラトニンがうつ病に効くエビデンス
2010年10月までを対象に6つのデータベースで検索できた二重盲検無作為化プラセボ比較試験5報について検討したメタ分析において、自閉症スペクトラム障害児のメラトニン摂取により、睡眠時間の増加と入眠潜時の減少が認められたが、夜間覚醒の減少は認められなかった
不眠症に対する効果を検証した臨床試験が報告されており、メラトニンが睡眠の質、睡眠導入、睡眠時間のいずれも改善する作用を持つことが示唆された。たとえば、国立精神・神経センターからの症例報告では、睡眠相後退症候群の患者にメラトニン1mgの投与で改善が示された。また、時差ぼけに対する効果を調べた臨床試験でも、改善効果が示されている。
『サプリメント事典 第3版』
(蒲原聖可、平凡社)
オランダのアムステルダムにある神経科学研究所のファン・デル・レークらは、ケアハウスにいる平均85歳の高齢者189人に、メラトニンを与え、光を照射させるという実験をしました。
寝る前にメラトニン2.5mgを与え、夜は9〜12時まで、室内で眼前に光を反射させて照射しました。期間は3.5年でした。その結果、知能は5パーセントの改善を示したのです。うつ病の指数も53パーセント改善しました。入眠時間は8.2分短くなり、睡眠時間は27分長くなりました。
うつ病の症状の軽減には、光とメラトニンはかなり効果があるようです。『誰も知らないサプリメントの真実』(高田明和、朝日新書)
で、メラトニンはうつ病に効果があるか?
メラトニンがうつ病治癒における直接の効果を持つものであるとの確固たるエビデンスは今のところありませんが、睡眠を改善する効果は間違いなくあると断言して良いです。睡眠の悩みを改善することで間接的にうつ病を軽減することができるかもしれません。
GABAやバレリアンなど睡眠に効くというサプリメントをいろいろと試しては床に入ってから数時間も眠れない夜を過ごしていた私でしたが、最終的にメラトニンによって救われました。明らかにスムーズに入眠することができ、飲酒量も減りました。
また、睡眠薬のように「気を失う」「記憶がなくなる」ことによって強制的に眠らされるのではなく、メラトニンを飲むことによって自然と眠くなることも特徴です。ついつい夜更かししがちなので眠りたい1時間前くらいにメラトニンを飲んでおくと、「眠いから寝よう」という気持ちになり、そのまま入眠することができます、メラトニンは薬品ではなくホルモンなので、弊害や副作用もありません。
かつての私のように睡眠の悩みを抱えている人には是非とも試してもらいたいサプリメントです。
メラトニンに副作用はある?
メラトニンは安全性が高く、副作用の少ないサプリメントのうちのひとつです。数百mgのメラトニンを投与しても副作用は認められなかったとの報告もあるくらいです。
私は寝付きがとても悪いので毎晩0.6mg〜0.9mgのメラトニンを飲んでから寝るのを数年間続けていますが、副作用を感じたことはありません。強い睡眠薬(ハルシオンなど)のように記憶が欠落することもなければ、寝起きに影響することなくスッキリと起きることができます。
ちなみに「妊娠中の女性」「小児」「てんかん患者」「ワルファリン使用患者」の使用は避けたほうが無難であるとされます。
メラトニンの1日の摂取量
1日に1mg〜3mg程度の使用が適量とされます。但し、0.1mgの摂取でも十分に効果があるともされます。市販のサプリメントには0.3mg〜20mgまで様々な含有量の商品がありますので、まずは少量から試してみるのが良いと思います。
先述の通り、私は寝付きが極めて悪いのですが毎晩0.6mg〜0.9mg、つまり0.3mg(300mcg)を2〜3錠で劇的に眠りの悩みが改善されました。
メラトニンが含まれる食べ物
メラトニンは体内で作られるホルモンであるため、食品中には含まれていません。
ちなみに「リラックス・快眠効果のあるサプリメント」としてL-トリプトファンというアミノ酸サプリが販売されていますが、その作用メカニズムは摂取したL-トリプトファンが脳内でセロトニンに変化し、そのセロトニンがメラトニンに変化することによります。
私はL-トリプトファンも飲んでいたこともあるのですが、リラックス効果は実感できたものの、残念ながら快眠効果は特に感じませんでした。
メラトニンの摂取タイミング
メラトニンは寝る前に摂取するようにしましょう。日中だと眠気に襲われたり、体内時計のリズムが不調をきたしてしまう可能性があります。
私は寝る1時間前に1錠、30分前にもう1錠飲むと程よく眠くなってくるので、そのまま布団に入ることにしています。メラトニンに出会う前はそもそも夜になっても眠くならなかったので、その効果は私にとっては大変に実感できるものです。