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イノシトールとは?
イノシトールはビタミンBのような働きをすることから、ビタミンB様物質の一種に分類されます。
最も有名な効果としては脂肪肝を防ぐというものがあります。イノシトールは抗脂肪肝ビタミンとも呼ばれています。同様にして、血管や内臓の脂肪やコレステロールを代謝する働きもあります。
また、イノシトールはリン脂質の構成成分の一種で、特に脳内の細胞膜を柔軟にする作用があります。細胞膜の柔軟さは脳内への栄養供給に影響しますので、うつ病を始めとする精神疾患の改善や脳機能の増進効果が期待されています。ちなみに、同じくリン脂質の一種に認知症改善に定評のある「ホスファチジルセリン」があります。
イノシトールがうつ病に効くエビデンス
うつ病患者28名 (試験群13名、平均63.7歳、イスラエル) を対象とした二重盲検プラセボ比較試験において、イノシトールを6g×2/日、4週間摂取させたところ、ハミルトンうつ病評価尺度によるスコアが改善した(PMID:7726322) 。この対象者を試験終了後10~12ヶ月追跡したところ、効果があった患者は治療をやめるとすぐに再発した(PMID:7622343) 。
「健康食品」の素材情報データベース(http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail607.html)
パニック症候群並びに強迫性障害の治療に、有効性が示されています。パニック症候群患者を対象とした比較試験で、イノシトール摂取により、重症度と発作の頻度および広場恐怖症の重症度が低下したという報告があります。
『サプリメント健康事典』(日本サプリメント協会、集英社)
で、イノシトールはうつ病に効果があるのか?
イノシトールのうつ病改善への直接的な効果はまだ実証には至っておらず、研究段階であるとみなせます。脳内にとって必要不可欠な物質であることは確かです。
私がイノシトールを摂取してみた感想としては「気持ちが落ち着く」効果を実感しています。イライラを抑え、現状を把握した上で何事も冷静に対処できるようになるので、かつて仕事がストレスフルであった時には大変に重宝したサプリメントのうちの一つです。
現在、仕事のイライラは落ち着きましたが、イノシトールを飲むと集中力が増進される気がすることと、お酒をよく飲むので肝臓への負担減のために継続して飲んでいます。私にとって信頼できるサプリメントのうちの一つです。
イノシトールに副作用はある?
イノシトールは適正量を摂取する分には安全性が確認されています。具体的には「12g/日を4週間および6g/日を10週間にわたり摂取しても副作用はみられなかった」との報告があります。サプリメントの中でも副作用の心配は少ないと言えます。
イノシトールの1日の摂取量
イノシトールには特に定められた摂取量はありませんので、各サプリメントに記載されている摂取目安に準じることになります。一般的には1日に250mg〜500mgとされます。1日の摂取上限は2,000mgです。
但し、上に挙げた臨床試験では1日に「6g×2 = 12g」の摂取でハミルトンうつ病評価尺度によるスコアが改善したとされています。やや過剰摂取気味ですが、これは医師の管理下において行われた試験であり、個人の判断で大量摂取をすることは推奨できません。過剰摂取の副作用としては「躁状態」「攻撃性」が発現するという報告もあります。
イノシトールが含まれる食べ物
イノシトールはオレンジなどの柑橘類に多く含まれます。野菜ではトマトやキャベツがその代表です。
イノシトールは普段の生活で欠乏する心配はないとされますが、食生活の偏りなどによって不足してしまう可能性があります。まずはバランスの良い食事を心がけ、プラスアルファとしてサプリメントにて摂取するのが良いでしょう。
イノシトールを飲むタイミング
イノシトールは水溶性ですので、空腹時に飲むことによって体内への吸収率が高まります。抗うつや抗ストレスを目的とするなら朝イチなどの空腹時に飲むのがおすすめです。