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セントジョーンズワートとは?
セントジョーンズワートは和名をセイヨウオトギリソウ(西洋弟切草)と言い、ヨーロッパでは古来よりメンタル改善や消毒剤として用いられてきた歴史があります。
セントジョーンズワートは日本やアメリカではサプリメントとして薬局で販売されています。特にアメリカではダイエット中の憂鬱やストレスを軽減するための「サンシャインサプリメント」として非常に人気があります。一方、ドイツやオーストリアは抗うつ効果のある医薬品として認められています。
セントジョーンズワートは軽中等度のうつ病に対して抗うつ薬と同程度の効果を持ちながら、抗うつ薬よりも副作用が少ないことが複数の研究においてはっきりと示されています。抗うつ効果を謳うサプリメントの中では最も信頼のおけるものです。
セントジョーンズワートがうつ病に効くエビデンス
これまで行われたたくさんの臨床試験において、SJW(セントジョーンズワート)が軽症から中等度のうつ病に対して、効果のあることが示されてきた。具体的には、23報の臨床試験に参加した1757名の患者において、抗うつ効果が報告されている。これらの臨床試験における平均的な投与期間は、4〜8週間である。
8報の臨床試験では、SJWの効果が、医薬品(抗うつ薬)と比較されており、SJWが医薬品と同等の効果をもつことが示された。『サプリメント事典 第3版』(蒲原聖可、平凡社、P306-307、http://amzn.to/2FR2bj4)
2008年に再びリンデらがまとめたメタアナリシスの結果では、ヒペルクム(セントジョーンズワートに含まれる有効成分)はSSRI(抗うつ薬)などと同じくらいうつ病に効果があり、副作用はSSRIに比べて少ないことが認められています。
『誰も知らないサプリメントの真実』(高田明和、朝日新書、P198、http://amzn.to/2pk2Vq6)
で、セントジョーンズワートはうつ病に効果があるか?
セントジョーンズワートが抗うつ効果を有することは間違いありません。抗うつ・抗ストレスを目的として最初に試してみるサプリメントとして強く推薦されます。
セントジョーンズワートの効果を最大限に享受するために、次の3点に注意しましょう。
1. セントジョーンズワートは長期的な摂取において効果を発揮する
セントジョーンズワートは脳内のセロトニンやノルアドレナリン濃度を一定に保つことによってうつ病の克服が実現するものです。抗うつ薬の一種であるSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)のメカニズムと同様です。
SSRIがその性質上、長期に渡る摂取によって効果を発揮するのと同様、セントジョーンズワートも遅効性です。少なくとも2週間から3週間摂取し続けることで緩やかに効き目が現れるものです。カスタマーレビュー等で「全然効かない」とする評価を時々見かけますが、即効性を期待しすぎているのではないかと推測されます。
緩やかに効くということは、緩やかに効果が持続するということです。気長に待つことが肝要です。
2. セントジョーンズワートは「軽中等度の」うつ病に効果がある
数々の臨床試験において示されていることは、セントジョーンズワートはあくまでも「軽中等度の」うつ状態を改善する効能があるということです。重度のうつ病を治癒する効果は認められていないので、重度である自覚がある場合やセントジョーンズワートが効かない場合は医師に相談するべきです。
3. 医薬品や他のサプリメントとの相互作用に注意する
セントジョーンズワートは副作用の少ないサプリメントですが、医薬品や他のサプリメントとの相互作用には注意すべきです。
鎮痛薬、抗うつ薬、強心薬などの医薬品と併用すると副作用が発現したりや効き目が弱くなったりする場合があります。セントジョーンズワートと医薬品との相互作用については「(セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)と医薬品の相互作用について|厚生労働省)」にて正式に厚生労働省から通達が出ています。
また、併用に注意すべきサプリメントには「トリプトファン」「5-HTP」「バレリアン」「GABA」などがあります。特に「トリプトファン」「5-HTP」については脳内セロトニン量を増やす効果のあるもので、セントジョーンズワートとの併用によりセロトニンが過剰分泌される「セロトニン症候群」を引き起こす可能性があります。
セントジョーンズワートは単体で摂取することが推奨されます。
セントジョーンズワートの1日の摂取量
セントジョーンズワートの1日の摂取目安は500mg〜900mgとされています。上限は1日に1,800mgです。
市販されているサプリメントはおおよそ500mg〜900mgの範囲で含有されていますので、各商品に記載されている目安に従って飲むと良いでしょう。
セントジョーンズワートの摂取タイミング
セントジョーンズワートを飲むのに特に適切なタイミングはないようですので、空腹時でも食後でも、任意の時間で構わないでしょう。殆どサプリメントで1日数回に分けて飲むようになっていますので、それに従いましょう。
また、先述の通り、セントジョーンズワートはその作用メカニズムから即効性はなく、2週間以上の長期摂取によって効果がもたらされるものです。エビデンスレベルで「うつ病に効果あり」とはっきりされているサプリメントは極めて稀有です。試してみる価値はあるでしょう。